Original Goodsオリジナルグッズ
演奏
第1ピアノ:小倉貴久子 第2ピアノ:佐藤卓史
ライナーノーツより
フランスでは、19世紀後半から20世紀前半にかけて、2台ピアノのための素晴らしい作品が数多く作曲されています。
両側に鍵盤をもち、響板とケースを共有するデュオ・ピアノは、この頃のプレイエル社、エラール社などフランスのピアノメーカーが、何台も製作していました。それだけ、当時需要があったということでしょう。
同じ種類の2台のピアノを揃えることは、なかなか困難なことですが、このデュオ・ピアノは、響板を共有しているので、響きを完全に融合させることができます。それは1台で行う連弾にも似ています。しかし、広い面積の響板をもち、ひとりで完全にひとつの鍵盤を占有できるデュオ・ピアノでは、豊かな音響効果をも期待できるのです。
このような楽しいアイディアが搭載された珍しいピアノは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、たくさん発明、製作されていました。しかし、現代ではそのような豊かな価値観を楽しむ余裕が、製作者にも演奏家にもなくなってしまったのか、生産されるピアノの形はオーソドックスなものだけとなってしまいました。
当アルバムで演奏しているデュオ・ピアノは、1925年製のプレイエルですので、当時の軽やかで色彩的な音色も、大きな魅力のひとつとなっています。共演の佐藤卓史さんは、今、最も注目される若手ピアニストのひとりです。学生時代からフォルテピアノに興味をもたれ、私のもとで熱心にフォルテピアノ奏法も研究しています。
二人で同じ響板を共有しながら、さまざまな音色や表現を試みたレコーディングの数日間、ソロ・ピアノの世界とも、他の楽器とのアンサンブルとも違う、興味深い世界を満喫しました。そして、華やかで楽しく、洒落たアルバムが出来上がりました。
19世紀末から20世紀にかけてのフランスの管弦楽の響きやエスプリを、デュオ・ピアノの演奏で楽しんでいただけましたら嬉しいです。(小倉貴久子)
演奏曲目
No. | 曲名 |
---|---|
3つのロマンティックなワルツ(E.シャブリエ) | |
1 | Ⅰ とても早く、傲然と |
2 | Ⅱ 中庸テンポのワルツ |
3 | Ⅲ 生き生きと |
4 | リンダラハ(C.ドビュッシー) |
5 | 交響的二重奏曲 作品117 1905刊(C.シャミナード) |
6 | ラ・ヴァルス(M.ラヴェル) |
スカラムーシュ 作品165b(D.ミヨー) | |
7 | Ⅰ 活発な |
8 | Ⅱ ほどよく |
9 | Ⅲ ブラジレイラ |
8つの異国風の舞曲(J.フランセ) | |
10 | Ⅰ パンビッシェ |
11 | Ⅱ バイヨン |
12 | Ⅲ 灰色のヌーベ |
13 | Ⅳ メレンゲ |
14 | Ⅴ マンボ |
15 | Ⅵ おそいサンバ |
16 | Ⅶ マランベアンド |
17 | Ⅷ ロックン・ロール |
18 | エレジー(F.プーランク) |