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最新アルバムはNo48「森の響き~ドイツ後期ロマン派・ブラームスの魅力~」です。
収録曲は、ヴァイオリンソナタ、ピアノ小品、そしてホルン三重奏曲ですが、注目はホルン三重奏曲。
ここで使われているホルンは、現代のホルンではなくて、1841年以前に作られたフランス製のナチュラルホルンです。つまり現代のホルンのようにヴァルブ装置(ロータリーヴァルブ)がついている楽器ではなくて、ただ管を巻いただけの楽器なのです。
ということは、音階は自然倍音のみを使って出します。そして音程の修正は、手のひらをベルに差し込んで、管を狭くしたり、塞いだりします。その結果、音は不均質で、ある時はけたたましく、ある時は優しく、またある時は陽光のごとく、ある時は陰鬱に響きます。この「移ろい」「陰影」こそがナチュラルホルン、つまりそれはホルン本来の姿であり、魅力でありアイデンティティなのです。
ブラームスのシンフォニーでは、ホルンが大活躍します。そうです、ブラームスはとてもホルンを愛していて、自らも演奏しました。それもナチュラルホルンをです。そしてブラームスは、ナチュラルホルンを、当時ドイツで一般に呼ばれていた名称である「ヴァルトホルン」と呼びました。ヴァルトはドイツ語で森の意味。ホルンが元来森で狩りに使われていたのでこう呼ばれるのですが、狩りが重要なのではなく、森=自然が重要なのです。自然は「移ろう」のであり「陰影」を持つのです。
ブラ―ムスが愛し、こだわり続けたたヴァルトホルンでのホルン三重奏曲。ブラームスが意図した響き=森の響き、が詰まったアルバムです。読売新聞推薦盤。