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No.51は「可愛いナンシー:18世紀のギター音楽」。
1770年頃のフランスのバロックギター、1780年頃のロンドン、トンプソン作の鍵盤付イングリッシュギター、1770年頃のロンドン、ロングマン&ブロデリップ作のイングリッシュギターと1791年ロンドン、カークマンのチェンバロ、1765年パリ、ブランシェのチェンバロを使用。どれも美しい楽器で、とても贅沢なアルバムに仕上がりました。
ギターの竹内太郎さんはこの道の世界的大家。チェンバロには大塚直哉さん、ソプラノには野々下由香里さんという豪華な顔ぶれ。ギター二重奏では第2イングリッシュギターにお弟子さんの井上景さんが加わっています。
タイトルの「可愛いナンシー」とは当時流行したバラッド。妖しい魅力を持つ美女ナンシーに翻弄される紳士を歌ったもの。ロンドンの古楽器商トニー・ビンガム氏所有の楽譜ですが、氏の特別の計らいで使用が許可された貴重な演奏です。
バロックギターの素晴らしさは今更述べるまでもないので省略しますが、今回の注目すべき点は、おそらく世界初録音であると思われる、鍵盤付イングリッシュギターの演奏。着脱式の鍵盤を操作して、弦を打ち鳴らします。弾くのとは異なる独特の音色です。
朝日新聞推薦、レコード芸術準特選となりました。
そして、No.52は「スクエアピアノとイギリス家庭音楽の愉しみ」。
18世紀後半、チェンバロからピアノへと鍵盤楽器の主流が移行していく時代、一般市民に普及したのは高価なグランドピアノではなく、リーズナブルな価格とコンパクトで省スペースのスクエアピアノでした。このアルバムはそんな時代の、イギリス中産階級の家庭での音楽の愉しみをコンセプトにしたものです。ピアノは小倉貴久子さん、ヴァイオリン桐山建志さん、ソプラノ野々下由香里さん。
使っているスクエアピアノは1805年ロンドンのトーマス・ラウド製。曲目はハイドン、モーツァルト、ヨハン・クリスチャン・バッハ、そしてこの楽器の販売も手掛けたクレメンティ。特にクリスチャン・バッハは、ロンドンでのスクエアピアノの流行に火付け役であったそうで、良く知られたソナタ ト長調 作品5-3を収録。スクエアピアノで聴くとなかなかの美しい響きに驚きます。歌やヴァイオリンも、スクエアピアノと合わせると、無理のない自然な響きになります。ハイドンのスコットランド民謡を基した作品は、ほのぼのとした郷愁を誘います。「遠い日々」は「蛍の光」の原詩。古き友と遠く素晴らしい日々に乾杯とは、これぞ人生の悦びでしょう。